藤岡陽子さんの『手のひらの音符』。
初読みの作家さん(*^^)v
多彩な経歴をお持ちの方で、大学卒業後、報知新聞社にスポーツ記者として勤務したのち、
タンザニアの大学に通われ、帰国後法律事務所の事務員として働き、
結婚後は看護専門学校を卒業して、看護師として働きながら、
小説の執筆を始められたそうです。
なんだか一人の人が、たくさんの人の人生を生きたみたいな、
とても忙しくされていたのではと想像に難くない。
医療系の作品もあるけれど、今回の小説のように、
家族をテーマにしたものが持ち味の作家さんのようで、
『手のひらの音符』は、団地で育った2つの家族を中心に展開する物語。
幼少期、思春期と決して、気楽な人生ではなかった少年と少女時代を送り、
家族に翻弄されながら、自分の戦い方で、生きていく2人の主人公。
切っても切れない家族という小さな社会の中で、
どんな苦難が押し寄せても、負けずに、自分の果たすべき人生を果たしていく物語。
温かい気持ち、苦しい気持ち、悲しい気持ち、優しい気持ち、心配、
喜び、愛情がぎゅっとつまった作品。
手のひらの音符を握りしめ、その歌を合言葉に、みんな各々の人生を生きて、
そしてまた再開するお話。
人生は長いようだけど、かならず限りがある。
その間にどれだけ魂を輝かせて、生きてこれたか、
最後に持ち帰るのは魂だけ。