久々に涙が止まらない小説でした(ToT)/~~~
流れてくる涙を拭いながら、目が真っ赤になるぐらい泣きました。
同性愛者が、幸せな家族を作ろうとするお話。ありのままに生きようとするお話です。
泉と草介は血のつながった親子で、離婚歴あり。
千代子と娘の宝も実の親子で、未婚のシングルマザー。
泉と千代子はお互いを愛し合い、深い家族の絆に結ばれ、結婚も、好きな人の子どもさえも
産めないけれど、かけおち同然で一緒に暮らし始める。
同性愛者であることを隠さず、自分の気持ちに正直に生きようとする母親二人。
草介は優しい性格の男の子で、離婚して離れた父への想いに蓋をして、
そして結ばれることのない好きな人への想いにも蓋をしながら、
自分の気持ちに嘘をつきながら生きる。
それは家族のことが大事だから、家族を一番愛しているから、
みんなの幸せを守りたいから。
そのためには、自分の気持ちに素直になるわけにはいかなかった。
草介の好きな人は、母親である泉と同じ人だったから。
お互いへの愛を包み隠さない、素直に生きている母たちの横で、
自分もそうありたいと願いながらも、いられない自分を隠しながら。
同性愛ということもあって、周囲に理解されるばかりではなく、
時には嫌がらせを受けたりすることもあったが、
母たちも、子どもたちも負けなかった。
どんなときも強い愛情で結ばれていた4人。
幸せで穏やかに流れる時間の中で、千代子が病気になり闘病の末他界する。
その後すぐに草介も事故にあってしまう。
4人いつも一緒だった家族、その時間が突然バラバラになってしまう。
くじけそうになるも、前を向いて、一歩踏み出し始めるお話です。
家族ってなんだろう?血がつながっているから家族?
お互いを愛しあっているから家族?
男性と女性が結婚して、子どもを産んで、それが正しい家族の在り方のような
社会の常識があるなか、本当の家族とは?親子とは?大切なことは何か?
と考えさせられる一冊です(*^-^*)
草介はきっと、家族が素直にありのままに生きれば生きるほど、隣でそっと
傷ついていたのかもしれない。
それでも一番に守りたかった、一番大切なものが草介にとっても家族だったのだと思う。
後半は涙が止まりませんでしたが、読んだ後、心がすっきりと澄み渡るような、
心地のいい読了感に包まれました。優しい言葉が胸に沁みる作品です。
《作:小川糸 出版社:集英社》