もうタイトルが怖くて、なかなか手を伸ばせないで、
のらりくらりと、町田そのこの他作品を読みながら、
ようやく決心がついて読み始めることとなった今回(*^-^*)
ニュータウンのうつくしが丘にある白い三階建ての一軒家が舞台。
その家に住む住人がコロコロと変わり、売りに出される。
近所では住む人がみんな不幸になるという噂まで。
5つの短編集から構成されていて、この白い家に住む住人の人生がそれぞれに
描かれている。最後のページに出てくる住人が、この家の始まりである
ストーリー構成も面白かった。
結論から言えば、
”自分が不幸かどうかは、他人が決めることではない”
この大きなテーマが物語に軸となっている。
確かに白い家に移り住む人々は、それなりに事情を抱えていたりしているが、
それはありふれたどこにでもあるお話。
5つのお話のどれにも、自分がいたように思う。
幸せか、不幸かは、個人よってものさしがちがうし、他人が測れるものではない。
そして他人に最初から任せるものでもないのだ。
他人の芝は、いつでも青く見えるもの。
比べようもないことを、並べては、比べて、
勝手に期待しては、勝手に裏切られて、勝手に傷ついて、
私たちはいそがしい生き物だ。
この作品は読み進めるほど、不幸どころか幸福になっていく。
タイトルのまんま騙されて、なかなか手に取れずにいた時間がもどかしい。
残り物には福がある。
ずっと読まずに寝かせて置いた、作品はとても甘美な時間をくれました☆
著者/ 町田そのこ 出版社/ 東京創元社