私たちが生きる小さな世界。小さな日常の連続。
もがきながら、悩みながら、不自由で、ままならないことも多いけれど、
時に美しくて、愛おしい私たちの世界。
6短編からなる本作。どちらの作品も主役級。
となりに住むあの人の人生かもしれないし、
電車でたまたま乗り合わせた人の人生かもしれないし、
道端ですれ違ったあの人の人生かもしれない。
そしてこれから私が経験するであろう人生かもしれない。
どのお話の登場人物もすごくリアルで、実在するのではないかと思うぐらいに、
その人の生活や、こんなとき、この人なら、こんな言葉を言うだろうなとか、
こんな食べ物が好きで、休日はこんな風に過ごすんだろうなと想像できてしまうほど、
身近な人を描いているような作品でした。
夫婦円満を寄り添う主婦。モデルの仕事をしていて、旦那も優しい。
でも子どもだけができなくて、旦那の不倫を黙認しながら生きている。
子どもさえ生まれたら、何もかもが上手くいくのに、大事なピースがひとつ揃わない。
家庭に恵まれなかった少年。秘密を抱えて戻ってきた姉と再び暮らすことになった、
高校生の弟の話。初孫の誕生に喜ぶ祖母と娘家族の話。
手紙を交わし続ける男と女。最後まで愛の適量が分からず、分かり合えなかった父と子。
大切なことを言えないまま別れてしまった先輩後輩の話。
それぞれのお話がすべてハッピーエンドというわけではなく、
ヒリヒリと心を焼くようなお話だったり、誰も悪くないのに繰り返されてしまった悲劇、
一方通行の愛情、背筋が凍るようなお話、人生は良い時も、悪い時もあるということを、
忠実に繊細に描いた作品だと思います。
決してきれいごとではない人生を懸命に生きる人々の一瞬一瞬を切り抜いたような
短編集です。
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